お初です/ピエール瀧、逮捕

 またこの世に必要のないブログが一つ爆誕してしまった……。

 とても後悔しています。

 以後お見知りおきを。

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 「ロボ娘・メカ少女・サイボーグ大好きっ子」とか言っておきながら、のっけからその話題じゃないことを書きます。すんまそん。

 3月13日の朝、YouTubeハリウッドザコシショウの新着動画のコメント欄をチェックしていると、動画の内容に全く関係のない「ピエール瀧」という単語がぽつぽつ出てきた。それらは一様にネガティブな色合いを帯びていたので「これは何かあったに違いない」とツイッターをチェックすると、「ピエール瀧、コカインで逮捕」というニュースが目に飛び込んできた。

 とても驚いた。周りに人がいるにもかかわらず、「あ!?」と声を出していた。ショックだった。

 

 私が人生で初めて買ったCDは電気グルーヴの「Shangri-La」である。しばらくは「“夢で KISS KISS KISS”の人たち」という印象しかなかったが、YMOを聴いてテクノに開眼してからはテクノを聞き漁るようになり、その流れの中で再び電気グルーヴに対峙することになった。一番好きなアルバムは『VOXXX』だ。

 熱心なファンではないが、いつもどこか彼らの存在は気になっていた。音楽はカッコいいし、昔の「オールナイトニッポン」とか聞くと腹ぶっ壊れるんじゃないかと思うくらい笑えるし、彼らも「メロン牧場」で語っていたような気もするが「電気グルーヴって最強なんじゃね?」と常々思っていた。

 映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? 〜石野卓球ピエール瀧〜』を最近見て「やっぱ電気いいな~」と思い、『塗糞祭』のブルーレイを買おうと思っていた矢先のニュースだった。電気グルーヴに関連した音源、映像を記録した媒体の出荷停止及び店頭在庫の回収ということでプレミアが付き、電気グルーヴ商品の中古価格は軒並み高騰している。くそぅ、こんなことになるなら『塗糞祭』を買っときゃよかった。でも、「こんなこと」になるなんて誰もが想像していなかった。「一寸先は闇」とはよく言ったもんで、本当にそうなんだなぁと実感した。あと転売ヤーは全員滅びろ。

 電気グルーヴは今年で30周年。記念アルバム『30』をリリースし、どさくさに紛れてピエール瀧は一年間限定で「ウルトラの瀧」に改名、2019年は華々しいメモリアルイヤーとなる、筈だった。「メモリアル」という甘ったるい響きとは別の形で、非常に不本意な形でみんなの記憶に残る年にはなったが……。

 「逮捕」のニュースを聞いた時に最初思ったのは、ピエール瀧は40代くらいでコカインに手を出してしまったのかな、ということ。電気グルーヴは継続して人気があり、役者業も絶好調。しかし、度重なる名声は新鮮さを失ってしまうもの。いつしか心が虚無で満たされた瀧は、更なる刺激を求めて薬物に手を出した……、こんな流れを予想していた。

 しかし、彼の供述によると「20代後半からコカインや大麻をやっていた」ということではないですか。下手すりゃ『ポンキッキーズ』の頃からラリラリのアヘアヘだったという可能性がある。我々がテレビ・ラジオ・ライブで親しんできたピエール瀧、っていうか我々が長年見続けていたのは顔がでかくて短足のジャンキーだったのだ。

 ここで頭をよぎるのは、名前の画数問題である。20代後半からやってるなんて相当のジャンキーだ。でも、「ピエール瀧」ではバレなかった。それが「ウルトラの瀧」に改名した途端、この度の逮捕である。やはりジャンキーがウルトラになるのはまずかったのだろうか。まぁジャンキーってある意味超人(ウルトラマン)だからな。

 逮捕のニュースからちょっと時間が経ったが、未だにどこか信じられない部分がある。電気グルーヴがよく「逮捕」とかそういう感じの話題をネタにしていたからだろうか。でもピエール瀧は本当の容疑者になってしまった。「ピエール瀧容疑者」。逮捕前なら、こんな単語でみんなゲラゲラ笑っていた気もするが、もう笑えなくなってしまった。

 岡村靖幸という先人(シャブで3回逮捕されたが現役復帰)がいるため、ピエール瀧の復帰については楽観的に考えてしまいがちだが、今はコンプラがどうしたとかでますます時代が厳しくなっているので油断は出来ない。

 今後の裁判で出る判決に従い、罪を償うしかない。

 それにしても心配なのが、「再犯をいかに防ぐか」ということである。薬物中毒者の話を本なんかで読むと、クスリをやめ続けるというのは本当に大変なことらしい。芸能人(言ってしまえばマーシー)が何度目かの逮捕をされた時に関係者は「また再犯するなんてマーシーは意志が弱い」とぷりぷりと怒っていたらしいが、薬物を断ち切るには意志がどうのこうのはあまり関係がない。「オレはクスリをやめる! もう金輪際やらない!」と決心しても次の日には「……クスリやりてえ……」と思ってしまうのがクスリの怖さである。

 20年以上もクスリにどっぷり浸かってきたピエール瀧。この悪しき習慣から脱け出すには周りの継続的なケアが必要である。人生、どんなにおもしろおかしく生きようとしても、ふとした瞬間に「オレって…………」とゴーーーーーーンと暗くなってしまう瞬間が訪れる。そんな時に魔が差してスリップしてしまう(クスリに再び手を出す)人が多いと聞く。そりゃあ長年やっていたクスリだもの、やめるのは相当大変だ。

 不思議なのは、ピエール瀧が全然ジャンキーっぽくないこと。クスリでズブズブになっていたらもっと顔に出ていそうな気もするが、まったくもってノーマルにしか見えない。コカインや大麻に耐性があったのだろうか。コカインや大麻って意外と日常生活に支障をきたさないものなのだろうか、とさえ思ってしまう。だからと言ってそれをやっちゃいかんけど。

 何より悔しいのは、自分のようなクソザコ野郎にこのようなことをダラダラ語らせてほしくなかったということ。こんな形でピエール瀧の話題を取り上げたくなかった。人間致命的なミスをすると、クソザコ野郎の俎上に載せられてしまうということです。あなたは薬物なんか使わなくても、ナチュラルハイになれる人間だったではないか。

 ピエール瀧は罪を犯したが、同時に患者でもある。20年以上も続けてきたことを断ち切るのは本当に地獄だと思う。

 たぶん石野卓球電気グルーヴを解散させずに待ってくれると思う。20年後くらいに卓球氏が「よっ、前科者!」と軽口を叩けるようになってくれるといいなと思う。時間はかかるかも知れないけれど、ピエール瀧が復活した時には、またその姿を見てみたい。